共同研究・競争的資金等の研究 - 渡邊 あや
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後期中等教育におけるインクルーシブ教育の展望とその方略の提言
研究課題/領域番号:19H01698 2019年04月 - 2023年03月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
石田 祥代、眞城 知己, 松田 弥花, 渡邊 あや, 本所 恵, 是永 かな子
【問題】日本では義務教育に比して後期中等教育ではインクルーシブ教育の条件整備が遅れており、多様な生徒一人ひとりのニーズに合わせた教育と支援の方策提言が喫緊の課題である。
【目的】北欧の後期中等教育におけるインクルーシブ教育の検討から、我が国における後期中等教育におけるインクルーシブ教育の在り方を展望するとともに、将来的な方略を提案する。
【期待される成果】日本の特別支援教育ならびに次世代の学校指導体制に対する示唆を得ることで、高校を中心とした支援システムと重層的セーフティネットが有機的に機能し、包括的かつ公平で質の高い後期中等教育の確立に寄与できる。 -
境界研究の分析法を用いた国境・境界地域における基礎教育に関する国際比較研究
研究課題/領域番号:18H03659 2018年04月 - 2022年03月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
森下 稔、鈴木 康郎, 山崎 直也, 羽谷 沙織, 楠山 研, 北村 友人, 鴨川 明子, 渡邊 あや, 鈴木 賀映子, 市川 桂, 南部 広孝, 石村 雅雄, S Kampeeraparb
本研究の目的は、国境・境界地域での現地調査を通じて、各事例における基礎教育の特徴的な実態およびそうした実態が生じることになった歴史的背景や社会・政治・経済などの要因を境界研究の分析法によって解明すること、および各事例の分析結果を比較することによって、現代の教育事象を捉えるための新たな視座を提示するとともに、新たな比較教育学方法論を構築することである。
この研究目的を達成するため、本年度は研究代表者の他に研究分担者12名、研究協力者6名の参画を得て実施した。まず、調査対象国の基礎教育および境界研究に関する文献・資料を収集・整理・分析するとともに、準備が整った調査計画から順次現地調査を実施した。調査を実施した国・地域は、台湾<金門島>、カンボジア=ラオス国境、ラオス=中国国境、マレーシア=ブルネイ=インドネシア国境、ミャンマー=タイ国境、アメリカ=メキシコ国境であった。その他資料調査を中国、ベトナム等で実施した。
また、研究計画・方法論の共有および個別情報の集約・統合を図るため、7月に第1回打ち合わせ会議を行った。3月には第2回打ち合わせ会議を行い、境界研究専門家2名(岩下明裕氏・川久保文紀氏)に依頼して境界研究の分析法・先行研究に関する講演を実施したとともに、本年度の調査研究の結果を各メンバーが報告して成果を共有した。
さらに、本研究課題の基盤となったこれまでの研究成果および当年度の調査結果を日本比較教育学会およびアジア比較教育学会等で発表した。
研究計画を推進するために、研究打ち合わせ会議を年度内に2回開催できた。いずれも、ほとんどのメンバーの参加が得られ、第1回会議では研究目的の確認、具体的な研究計画の立案などを行い、第2回会議では境界研究の専門家による講演によって、境界研究の分析法を教育学に用いることに関する理論的・方法論的な議論が深まるとともに、それぞれの文献資料調査・現地調査の結果について討議できた。
多くの調査が実施されて、それぞれの初年度達成しようとした目標が達成できた。そのなかでも、アメリカ=メキシコ国境やカンボジア=タイ国境では、毎日越境通学する児童の存在が実証的に確認され、今後の本研究課題の重要な成果を生み出す契機として注目できる。なお、いくつかの予定された国境・境界地域における現地調査は、現地事情等により資料調査に振り替えるなどしたが、元来調査実施には相当の準備が必要な地域もあり、ある程度は想定されていたものである。
研究成果の発信については、各メンバーによって論文や学会発表を通して積極的に行われた。特に、本研究課題の背景や経緯、意義や将来像に関する研究代表者による論文が、日本比較教育学会紀要に掲載されたことは当初予定を上回る成果と言える。なお、当初予定されていたホームページの開設は、予算上の制約や掲載内容の精査に時間がかかることから次年度に延期した。
以上のことを総合的に判断して、おおむね順調に進展していると考えられる。
研究課題の目的を達成するため、本年度に引き続き国境・境界地域における現地調査を柱とする研究計画を推進する。特に、現地事情等により本年度に調査が実施できなかった中国=モンゴル国境、中国=ミャンマー国境、ベトナム=カンボジア国境、フィンランド=ロシア国境については、実現に向けて精力的に取り組むこととする。また、本年度に大きな成果が得られたアメリカ=メキシコ国境については、米大統領の政策によって世界の注目を集めていることでもあり、重点的に推進する方針とする。
同時に、各メンバーの調査研究の経験を集約・統合しながら、比較教育学としての境界研究の方法論を構築するため、研究打ち合わせ会議を行う。その過程について日本比較教育学会の課題研究や世界比較教育学会などを活用して国内外の学界に発信していく。あわせて、ホームページを開設することにより、広く社会に発信する体制を整える。 -
ライフヒストリーで辿るフィンランド教育の源泉-「教育における平等」概念の実相-
研究課題/領域番号:18K02422 2018年04月 - 2021年03月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
本研究では、(1)フィンランドの教育政策における「教育における平等」概念の検証、(2)教育関係者のライフヒストリー・インタビューによる「教育における平等」の検証、(3)「教育における平等」の多層的アプローチの制度化メカニズムの解明、(4)平等性を担保する教育制度の在り方についての提言、の4点を実施することとしている。
研究初年度の2018年度は、主に、(1)フィンランドの教育政策における「教育における平等」概念の検証と、(2)教育関係者のライフヒストリー・インタビューによる「教育における平等」の検証に取り組んだ。(1)については、主に文献調査により、フィンランドの教育政策文書と先行研究のレビューを行い、1960年代以降の教育政策における「平等」概念の検証を行った。まだ分析途中であるが、「平等」主義的なアプローチが、北欧型福祉国家へと転換を図った1960年代以降のフィンランドの教育政策の展開に通底するものであること、その点については現代も変わらぬままであるが近年その解釈に僅かな変化が確認できることなどが明らかになった。
平等概念の近年における変化という、文献調査に基づく仮説を踏まえ、その裏付けを得るべく、現地において、学校関係者や教育研究者、教育行政関係者らにインタビュー調査を行い、現代における教育関係者の平等観及び学校現場で目指されている「平等」の実相を描き出すことを試みた。
さらに、(1)の分析に基づき、(2)の実施のためのフレームワークの素案を作成した。これについては、現地調査を行った際に、フィンランドの研究協力者(教育研究者)から助言を受けている。その助言を踏まえ、フレームワークの修正を図り、2019年度に実施予定のパイロット調査に向けた準備を進めた。
当初想定していたよりも、分析対象となる教育政策文書の量が多く、その分析に時間がかかっているが、そのことを除けば、概ね当初の計画通りに進んでいるため。
今後は、フィンランドの教育政策における平等概念の検証をさらに精緻なものとするとともに、フィンランドの教育関係者へのライフ・ヒストリーインタビューにより、教育関係者らに共有された「教育における平等」観の検証を行い、その経年的変化や普遍的価値について、検討する。そうした取組を通じて、フィンランドにおける「教育における平等」観の実相と、その多層的アプローチの実相を明らかにし、平等性を担保する制度設計のモデルを提示することを試みる。
教育政策における平等概念の検証については、計画では、テキストマイニングを行うこととしていたが、プレ的に実施した分析では、特徴の抽出に課題が残った。そのため、検証方策については、計画通りの実施を基本として進める一方、より効果的な方法の検討も並行して実施する。 -
北欧における社会生活に活きる初等中等教育の様相と効果に関する研究
研究課題/領域番号:17H04568 2017年04月 - 2021年03月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
藤村 宣之、寺川 志奈子, 渡邊 あや
本研究では,北欧における「社会生活に活きる教育」の様相と効果を,(1)教育理念・政策,(2)授業過程等の様相,(3)各児童・生徒への効果の点から明らかにする。
(1)教育理念・政策 「汎用的コンピテンス」にもとづく教育の実施状況を明らかにするために,自治体連合の教育政策・教育財政担当者に面接調査を行った結果,各自治体が新たな教育課程基準の導入を模索する中で,教科統合的な学びがさらに拡大する実態が明らかになった。また,「汎用的コンピテンス」の測定方法の開発や教育の質保証の取組との関連性を検討するために,学校の評価方法や,学力調査に関する教育政策文書の分析と学校での聞き取り調査を行った結果、プロセスを重視した評価という従来の特徴が強化されるとともに、学力調査も教育課程基準の枠組みに合わせて転換が図られていることが明らかになった。
(2)授業過程や教師の授業観 フィンランドの小学校・中学校・高校,4校で新教育課程基準下の授業過程を観察し,教師への面接調査を実施した。その結果,小中学校では,①児童の自律性を重視した学習,②日常的テーマをもとに各教科の内容の統合をめざす学習など,より焦点化された取り組みが進められていること,高校では,①生徒の動機づけを高めるなどの目的で学習内容と日常的事象との関連づけが図られていること,②ICT機器の活用が進む一方で「教育学が工学に先行する」必要性も認識されていることなどが明らかになった。
(3)児童・生徒に対する効果 フィンランドの「教科統合型学習」を中心とした授業が各児童・生徒に及ぼす効果を検討するために,小学校3,5年生を対象に,社会性や対人関係に関連する内容(汎用的コンピテンス)や,数学的思考に関連する概念的理解(深い理解)を多面的に測定する集団調査を,前年度とは異なる地域に拡大し,「深い理解」を測る新規の記述型課題も開発して実施した。
年度当初に予定していた,(1)フィンランドの自治体関係者へのインタビュー調査や,評価方法と教育の質保証の取り組みとの関連性の検討,(2)新教育課程基準のもとでの授業過程の観察と教師への面接調査,(3)記述型課題を用いた集団調査を実施する対象の地域的拡大と新規課題の開発・実施など,フィンランドの「社会生活に活きる教育」の理念・政策的背景,様相と効果についての多面的な検討が進んでいるため。
本年度の研究の進展を生かして,(1)フィンランドの教育理念・教育政策については,国際的時流に照らしながら,その位置づけを含めて検証するとともに,新教育課程基準の導入により「社会生活に活きる教育」やそれが目標とする「汎用的コンピテンス」の育成にどのような変化が生じたのかを,新聞等メディアの分析も含めて検討する。次に,(2)「社会生活に活きる教育」の様相については,北欧諸国のスウェーデンにおける授業についても観察・分析を開始し,学習面や対人関係面の様相について検討する。また,教育課程基準の改訂に対応したフィンランドの教科書を分析し,改訂の理念がいかに実現されているかを検討する。さらに,(3)記述型課題を用いた集団調査による「社会生活に活きる教育」の効果の検証に関しては,フィンランドの研究者と協力しながらフィンランドの児童の記述内容を分析するとともに,実施対象を中学生にも拡大してフィンランド国内における児童・生徒の認知や社会性の発達的変化についても検討を行う。 -
北欧諸国における大学ガバナンスの変容に関する研究-潮流と伝統の相克と調整-
2015年04月 - 2018年03月
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北欧諸国における大学ガバナンスの変容に関する研究-潮流と伝統の相克と調整-
研究課題/領域番号:15K04389 2015年04月 - 2018年03月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
本研究は、北欧諸国における大学のガバナンス改革とそれにより生じた組織変容の実相を解明することにより、①「近年の改革により世界の大学のガバナンス・モデルが収斂しつつある」という仮説を検証すること、②新たな体制下での大学組織のあり方を検討すること、を目指すものである。研究の結果、三者(教授・教授以外の教職員・学生)自治の伝統を維持しつつも、「コミュニティとしての大学」の実態には変化が生まれつつあることが明らかになった。このことから、北欧の事例は、「近年の改革により世界の大学のガバナンスモデルが収斂しつつある」という仮説を一定程度裏付けるものであると言える。
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平等と卓越性のバランス政策を軸とする自律的公設学校の国際比較
研究課題/領域番号:15H05201 2015年04月 - 2018年03月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
中島 千恵、杉本 均, 服部 美奈, 澤野 由紀子, 吉原 美那子, 渡邊 あや, 石川 裕之
多様な教育ニーズを包摂し、平等を追求しながらも優秀な人材をいかに育成するのか、公教育の課題である。本研究では、平等と卓越性を軸に、公費で設置され自律的に運営できる自律的公設学校の国際比較を実施した。
アジア諸国(シンガポール、インドネシア、韓国、日本)では自律的公設学校は、グローバル人材育成に焦点化される傾向があり、学校の設置も限定的である(インドネシアでは閉鎖)。しかし、公教育の枠外の学校の増加も認識され、新たな課題が発生している。 英・米・スウェーデンでは、自律的公設学校の拡大によって多様なニーズを包摂し、深い葛藤を抱えながらも公教育は次のステージを模索しつつあるかに見える。
(1)過去15年ほどの間に国際的に普及・拡大してきた自律的公設学校について、本研究でとりあげた英・米とアジア諸国では大きく異なる2つのアプローチがあるものの、どちらも従来の公教育の枠組みの「中」あるいは「外」に新たな社会的リスクを生み出していることを明らかにした。(2)第2に公教育の発展段階という視点から調査結果を分析し、第3段階への模索を示唆し、今後の公教育の在り方の検討に寄与する実証的データを提供することができた。さらに、(3)企業が国境を越え、他国の公立学校運営に乗りだしている実態を伝え、近年、教育関連の学会で展開されてきた公共性概念の変容に関する議論に一石を投じることができた。 -
学生参画による質保証の国際比較―学生との対話を反映した大学教育の質の向上―
研究課題/領域番号:26285171 2014年04月 - 2017年03月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
田中 正弘、森 利枝, 渡邊 あや, 武 寛子, 山田 礼子, 杉本 和弘, 楊 武勲, 曽根 健吾
「学生参画」という用語は,世界の至る所の高等教育関連文書で目にするようになった(Millard et al. 2013)。しかし,この用語の意味は実に多様である。学生参画といっても,具体的に誰が,どこで,何を,いつ,どんな目的で,どのように実施すべきなのかが,各国で大きく異なるためである。そこで本研究では,学生参画の定義を下記のように明確にすることを試みた。
学生参画とは,①学生個人および同僚の学習成果を最大化する目的で,または,②大学教育の質を保証・向上させる目的で,あるいは,③大学運営に学生・大学・社会の利益を反映させる目的で,学生が自らの労力や情報を大学に提供することである。 -
PISAの受容に見る国際標準化とダイバーシティの対話の可能性に関する実証的研究
研究課題/領域番号:24330238 2012年04月 - 2015年03月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
二宮 皓、田崎 徳友, 藤井 泰, 金 龍哲, 佐々木 司, 渡邊 あや, 下村 智子, 卜部 匡司, 佐藤 仁, 奥田 久春, 潘 建秀, 石田 憲一, 大野 亜由未, グリーク リークレ, 金井 裕美子, 島津 礼子
本研究は、「近代以降国民国家の営みと捉えられてきた初等・中等教育において国際標準化が進んでいる」とする仮説を、PISA以降の各国の教育改革・教育戦略をエビデンスに基づき検証することにより、義務教育におけるグローバリゼーションの実態を明らかにすることを試みるものである。その過程においては、ダイバーシティ(多様性)が保持されることで人類社会のサステイナビリティがより強化できるとする考え方・視座から、この仮説と現実の実相を批判的に検討する。その結果、制度や政策面では、国際標準化が進む一方で、各国の伝統的な教育文化も今なお、その基底に強かに息づいている実態が明らかになった。
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フィンランドにおける教育の地方分権化の影響-学習成果における格差の視点から-
研究課題/領域番号:24730707 2012年04月 - 2015年03月
科学研究費補助金 若手研究(B)
本研究は、1990年代に教育の地方分権化を経験したフィンランドを事例として、学校運営や教育内容などにおける学校設置者(自治体)の関与のあり方と度合い、すなわち地方と学校との関係が、学習成果に与える影響を分析することにより、教育の地方分権化の影響とインパクトを中長期的視点から検証することを目的とするものである。その結果、(1)地方と学校の関係は都市部とその他の地域とで大きく異なっていること、(2)それによる違いは学校経営などについては大きいこと、(3)しかしながら、学習成果についてはさほど明確な影響が観られなかったこと、が明らかになった。
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フィンランドにおける教育の地方分権化の影響-学習成果における格差の視点から-
2012年04月 - 2015年03月
本研究は、1990年代に教育の地方分権化を経験したフィンランドを事例として、学校運営や教育内容などにおける学校設置者(自治体)の関与のあり方と度合い、すなわち地方と学校との関係が、学習成果に与える影響を分析することにより、教育の地方分権化の影響とインパクトを中長期的視点から検証することを目的とする。これまで、地方分権化に関する研究の多くは、国と地方の役割分担に焦点を当ててきているが、本研究では、国と地方との関係の変化により、自治体間の違いがより鮮明になった地方(自治体)と学校との関係に着目し、そのあり方と学習成果の相関という観点から地方分権化の影響を探るものである。
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フィンランドの児童の思考と信念の特質と環境要因に関する心理学的研究
研究課題/領域番号:23402055 2011年04月 - 2015年03月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
藤村 宣之、寺川 志奈子, 渡邊 あや
本研究では,フィンランドの児童の思考の特質や,学習や人間関係を規定する信念,それらに影響する環境要因を,観察,面接,調査などの心理学的方法を用いて検討した。授業場面や学童保育の活動場面の観察や,児童に対する個別面接などの結果,フィンランドの児童の思考には日常生活と関連づけられた多様性がみられ,思考プロセスを友人や教師に表現することが明らかになった。また,他者との協同を重視する学習観や,大人や子どもの各段階に価値を見いだす人間観も示された。さらに教師や学童保育指導員への面接などから,それらの思考や信念が,個人の発達を支援する教育観や教師・指導員・保護者の協同により支えられていることが示唆された。
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フィンランドにおける地方分権的教育行政の研究-格差を抑制する教育システムの検討-
2009年04月 - 2012年03月
地方分権化された教育行政・制度を有しながら、平等性・公正性と優秀性を高い水準で達成しているとされるフィンランドの教育システムのあり方を検証した。その結果、フィンランドの地方分権的教育行政では、教育の中身については現場に権限を委譲しつつも、教育の基盤整備における国の責任を明確化し、国がこれを保障することにより、比較的均質な教育の提供を実現させていることが明らかになった。
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国際学力競争におけるグローバル・ガバナンスの実相の比較研究-PISAを事例として-
研究課題/領域番号:21330191 2009年 - 2011年
科学研究費補助金 基盤研究(B)
二宮 皓、田崎 徳友, 藤井 泰, 金 龍哲, 佐々木 司, 大野 亜由未, 渡邊 あや, 卜部 匡司, 佐藤 仁, 奥田 久春, 石田 憲一, リークレ グリーク, 下村 智子, 金井 裕美子, 石田 憲一
本研究は、各国におけるPISAの影響を教育内容と教育制度という二つの軸を立て、(1)教育制度・内容双方において影響を受けた国、(2)教育制度のみ影響を受けた国、(3)教育内容のみ影響を受けた国、(4)教育制度・内容ともに影響を受けなかった国の4類型に整理した。さらに、「数字によるガバナンス」と称される緩やかな形のグローバル・ガバナンスの出現が教育の意思決定において確認される中で、義務教育の国際標準化が進んでいる現状を指摘した。
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フィンランドにおける地方分権的教育行政の研究-格差を抑制する教育システムの検討-
研究課題/領域番号:21730675 2009年 - 2011年
科学研究費補助金 若手研究(B)
地方分権化された教育行政・制度を有しながら、平等性・公正性と優秀性を高い水準で達成しているとされるフィンランドの教育システムのあり方を検証した。その結果、フィンランドの地方分権的教育行政では、教育の中身については現場に権限を委譲しつつも、教育の基盤整備における国の責任を明確化し、国がこれを保障することにより、比較的均質な教育の提供を実現させていることが明らかになった。
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多角化・多層化する高等教育交流の大学運営へのインパクトに関する研究
2007年04月 - 2009年03月
本研究において、高等教育交流が、大学組織及び管理運営に与える影響を、機会とリスクの観点から実証的に分析することを試みた結果、高等教育機関内部において、(1) 欧州や北欧といった地域レベルでの高等教育交流の拡大とともに設置が進められた国際交流業務担当部署の位置づけが2000年以降変化しつつあること、(2) その変化には、主として普遍化と戦略化という、一見、矛盾するようにも見える傾向があること、が明らかになった。
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学級を「学びの共同体」にするための教師の力量形成プログラムの開発
研究課題/領域番号:19530688 2007年 - 2009年
科学研究費補助金 基盤研究(C)
原田 信之、高旗 浩志, 渡邊 あや, 関田 一彦, 関田 一彦
グループ学習を効果的に指導する教師の力量形成を目的に、「学びの共同体づくりを実現する学習集団形成モデル」と「協同の学びを実現する教師の力量形成モデル」のデュアル・システムとして、集団成員の主体的な問題解決力と教師の指導力の二側面から習熟段階を設定し、協同の精神(互恵的相互依存関係)に支えられた対話的交流を促進する授業技法化プログラムを開発した。
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北欧における大学運営、大学評価への学生参画システム検証
研究課題/領域番号:19601005 2007年 - 2008年
科学研究費補助金 基盤研究(C)
堀井 祐介、青野 透, 西山 宣昭, 渡辺 達雄, 早田 幸政, 渡邊 あや, 上倉 あゆ子
北欧諸国における大学運営、大学評価活動への学生参画の法的根拠、仕組み、運用実態、について書面および訪問調査を行った結果、北欧諸国では、大学法、学則等により、大学理事会や大学評価関連委員会等に学生代表を入れることが規定されており、学生代表は、他の構成員と同じ権限、責任を持ち、理事会、教授会、教務・学生委員会、評価パネルなどいろいろなレベルの会議体に学生が参画し、教育の質向上に役立っている事実が確認出来た。
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多角化・多層化する高等教育交流の大学運営へのインパクトに関する研究
研究課題/領域番号:19830048 2007年 - 2008年
科学研究費補助金 若手研究(スタートアップ)
本研究において、高等教育交流が、大学組織及び管理運営に与える影響を、機会とリスクの観点から実証的に分析することを試みた結果、高等教育機関内部において、(1) 欧州や北欧といった地域レベルでの高等教育交流の拡大とともに設置が進められた国際交流業務担当部署の位置づけが2000年以降変化しつつあること、(2) その変化には、主として普遍化と戦略化という、一見、矛盾するようにも見える傾向があること、が明らかになった。